今月の釈迦説法
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今月の釈迦説法

釈迦が菩提樹の下で悟り、説いた教えとは中道(ちゅうどう)、縁起(えんぎ)、四聖諦(ししょうたい)、八正道(はっしょうどう) の四つの真理から成り立っています。
これらの修行を積むことによって煩悩をなくし、結果として苦を克服することができるとされています。

概要写真

2020年5月

お寺の掲示板

お前も死ぬぞ  釈尊

 

この掲示板の言葉は、岐阜県の願蓮寺というお寺の掲示板に書いてあった言葉です。

お寺には、お寺の外を行き交う人々の為に掲示板というものがあります。その掲示板を通して普

段仏教に触れることのない方々に仏教に触れて頂き心の栄養にして頂くというものです。

その名の通り「お寺の掲示板」というタイトルの本がありましたので、しばしば解説を入れなが

らご紹介していきたいと思います。

令和2年初めての投稿となりましたが、今年もこのような社会情勢の中ではありますが、何卒よ

ろしくお願い申し上げます。この掲示板が「輝け!お寺の掲示板大賞2018」の大賞作品で

す。投稿されるとすぐにインターネット上で大きな反響を呼び、それまで全く無名だった「お寺

の掲示板大賞」の名を世に広く知らしめました。「自分もいつかは死すべき存在である」という

ことを日頃私たちは忘れてしまいがちです。「釈尊」(お釈迦さま)は、本当にこのような言葉

を口にされたのでしょうか。釈尊の教えを伝えるとされる原始仏典『サンユッタ・ニカーヤ』の

中では、「生まれた者が死なないということはあり得ない」と記されています。

この標語を書かれたご住職は、それをより直接的な物言いにしたのだと思われます。アップル社

の共同設立者の一人、スティーブ・ジョブズさんが、亡くなる2011年の6年前にスタンフォ

ード大学の卒業式で行ったスピーチは有名です。

若いときから、座禅を組み、仏教に関心を抱いていたジョブズさんは、このときすでに癌に侵さ

れていました。卒業式の壇上で、17歳のとき目にした本の言葉を紹介しています。

「毎日これが人生最後の日と思って生きてみなさい。そうすればいつかそれが正しいとわかる日

がくるだろう」当然ですが、誰にでも人生最後の日はやってきます。今回、「お前も死ぬぞ」と

いう言葉に多くの人がショックを受けているのを見て、現在、死がいかに遠い存在であるかを痛

感しました。

だれもが経験することとして、死を身近に意識することによって、また違った「生の顔」が見え

るのではないでしょうか。

 

読んだ時の感想は、あまりにも直接的な言い方なので最初はびっくりしましたが、回りくどい言

い方よりも、今の現代人にはこういう言い方の方が刺激的かもしれませんね。人間の死亡率は

100%です。50%でもなければ80%でもないのです。

どのような高度の医療を受けたとしても、逃れ難きは「老・病・死」であります。このことがき

っかけとなってお釈迦さまは出家されたと伝えられています。いわゆる「四門出遊」です。

これこそが仏教の教えの原点だと思います。「初心忘れるべからず」と言うように、常に仏教の

教えの原点に立って物事を見、感じ、人生やいのちを考えていくことが、心豊かに生きることで

はないでしょうか。

 

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