2020年12月
鬼滅の刃
古歌
皆人(みなひと)の 心の奥の隠れ家に 「仏」も「鬼」も「我」も住むなり
心の中に仏も住んでいるけれども、鬼も我も住んでいるということです。
ですから、人間ほど良いことをするものはおりませんが、人間ほど悪いことをするものもおりま
せん。善も悪も好きも嫌いも憎しみや恨み怒りも全て全部心の中に入っているんです。
今年も早いもので残すところ一か月となりました。今年2020年は日本にとっていや世界にとって
未だかつてないほど、経済的健康面において未曽有の年となりました。
話は変わりますが、毎年12月になるとその年の世相を表す漢字が一文字発表されます。
昨年は「令」という漢字でした。さて今年は何て漢字になるんでしょう。
個人的には、「鬼」という漢字になりそうな予感がします。
新型コロナウイルスという目に見えない脅威が人類を脅かし、世界経済を狂わせ各地で多数の死
亡者を出し失業者が急増し、まさに目に見えぬウイルス(鬼)によって世の中が一変しました。
それまで聞く事のなかったソーシャルディスタンス、パンデミック、PCR等々。新しい生活様
式によりこれから新しい世がどう変わるのかではなく、どう変えていかなねばならないのかを模
索していかねばならないでしょう。そんな中、外に出れないし人にも会えない時間が多くなりテ
レビ時間も多くなりました。
子供から大人まで「鬼滅の刃」というアニメに魅了され2020年の一世風靡の番組となりました。
これに登場する鬼ですが、元々は人です。人の心に巣くう「恨」「憎」「怒」というものが表現
化したものが鬼です。誰もが鬼になりうる(種)因を持っています。
たまたま(実)果として今は種のままですが、いつどのような縁により私たちの心に鬼が現れる
か分かりません。心にだけ鬼が現れるのか行動に移してしまう鬼なのか、ただ「縁次第」です。
鬼滅の刃という番組を通し改めて今の現代社会に生きる人間の心の悲しい性というものについて
考えさせられました。新型コロナウイルスという「鬼」人の心に巣くう「鬼」今年の世相を表す
漢字はこの『鬼』に決定です。(言い切ってしまった!)お釈迦さまは、この世に生まれるとい
う事は「老・病・死」を背負って生きていく事をこの世に生まれる事とお示し下さいました。
「老」とは若さや健康、体力を奪っていくもの「病」とは健康を奪っていくもの「死」とは人生
や家族、地位や名誉、財産等全てを奪っていくものです。人生を歩むという事は、受け入れやす
い事を受け入れるのではなく、受け入れ難い事ばかりを受け入れていかねばならない事でありま
す。受け入れる強い心を養ってくれるのが、仏さまの教えです。
受け入れ難い事(鬼)という問題を解決(滅)するには、仏さまの教え(刃)に出遇う他ありま
せん。