2022年5月
幸せと仕合せ
「しあわせ」と聞くと、皆さんはどちらの「しあわせ」を思い浮かべますか?
多くの方が「幸せ」を思い浮かべることでしょう。
けれども、辞書で幸せと調べても、幸せのみの表記は出てきません。大辞林で「しあわせ」と
調べると、
しあわせ【仕合わせ・幸せ・仕合せ・倖せ】
① めぐりあわせがよい・こと(さま)。幸運。幸福。
② めぐりあわせ。運命
とあります。(辞書によります)幸せを多くの方は①にあるような、幸運や幸福を、幸せと思い
浮かべるでしょう。
その幸福を大辞林で調べると不自由や不満もなく、心が満ち足りている・こと(さま)。
とあります。心が満ちたときに人は幸せ・幸福を感じるのです。私は美味しいご飯を、お腹一杯
に食べたときに、幸せを感じます。皆さんも様々な場面で、幸せを感じることがありましょう。
けれども、このお腹一杯で幸せな私の幸せは、私一人の力で成されたでしょうか。
食材があって、それを運ぶ人がいて、調理をする人がいて、提供する場があって。他にも様々な
ことが重なり合って、今私は幸せを感じられているのです。
この幸せは、一人では決して成しえないということです。「しあわせ」のもう一つの意味として
めぐりあわせ。運命。とあります。元々「しあわせ」という言葉は、幸福感を表すのではなく、
その成り立ちを表している言葉でした。
「仕 + 合わせる」様々なことが重なり合って、物事は成り立っているということです。
この世に生まれてくることも、年老いていくことも、病気をすることも、死ぬことも、出会うこ
とも、別れていくことも、良いことも、悪いことも、悲しいことも、辛いことも、腹ただしいこ
とも全て含めて「しあわせ」(仕+合わせ)でした。いつしか、幸福だけを幸せと認識され、
本来の仕合わせが見えにくくなってしまいました。ついつい、何かあると私一人の力と、思いが
ちになってしまいます。けれども、どんなこともおかげ様。「しあわせ」の本来の意味を大事に
しながら、たくさんの仕合わせを感じて、日々を歩んでいきたいものです。